PhysicsLab. 2017 Blog

東京大学理学部物理学科有志による、第90回五月祭企画「PhysicsLab.2017」のブログです。準備の様子や各班の内容を紹介していきます。

メトロノームを物理の世界から見ると

シンクロ班の宮崎と申します。

 

前回の記事では「振動子」と「同期」の簡単な説明をしたので、まずはそちらをご覧ください。
http://ut-physlab.hatenablog.jp/entry/2017/03/26/225014

今回はシンクロ班の目玉商品、メトロノームについてお話ししましょう!2つクイズを出すので皆さん考えてみてくださいね。

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さて1つ目の問題です。なぜメトロノームは一定のリズムでチクタク振れるのでしょうか?普通なら摩擦によってだんだん減衰するはずですが...

 

答えは、メトロノームの内部には針をキックする装置が入っていて、それが減衰分を補っているからです。

 

続いて2つ目の問題です。静止した状態でそこから思いっきり針を振った時も、ちょっとしか針を振らなかった時も、ある程度時間が経てばどちらも一定幅での振動に落ち着きます。言い方を変えれば、どんな始状態でも同じ終状態に至るということです。これはどうしてでしょうか?

 

針の動きには摩擦とキックが関係していることに気づけば解決します。振れ幅が大きい時は摩擦が強いため減衰していきますが、逆に振れ幅が小さい時はキックが勝つのでもっと大きく揺れようとします。振れ幅一定というのは、この摩擦とキックがちょうど拮抗する所なのですね。この最終的に行き着く所を「リミットサイクル」と呼びます。

 

次は図で理解してみましょう。

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横軸が針の位置、縦軸が針の速度です。(正確には速度ではなくて運動量です。)最初は赤い四角の状態からスタートして、矢印方向に移動していき、最終的にはずっと同じ軌道をぐるぐる回っていますね。これは、初め振れ幅が大きい状態で手を離すと、ある程度振動を繰り返した後、一定幅で振れる状態へと収束することに対応します。この収束先がリミットサイクルです。

 

今回はリミットサイクルに焦点を当ててお話ししました。五月祭当日(20、21日)は詳しい説明と共に、たくさんの実験をお見せしようと思います。fぜひ理学部1号館に足を運んでいただき、楽しい物理の世界を味わってください!


(これより先はちょっと難しいことを書くので、物理に興味のある方は読んでみてください。)

 

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ここまでお読みいただきありがとうございます。理学部物理学科は五月祭で皆さんが来ていただけるのを心よりお待ちしております。