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PhysicsLab. 2017 Blog

東京大学理学部物理学科有志による、第90回五月祭企画「PhysicsLab.2017」のブログです。準備の様子や各班の内容を紹介していきます。

宇宙線ってなんですか

こんにちは!宇宙班班長の佐藤です。

最近は外もだんだん暖かくなってきていて、春の兆しを感じます。嬉しいものです。家のマスクはいくつあっても足りなくなってしまいますが!

さてさて、このブログではこれまで色々な班が自分たちのやっていることを紹介してきたわけですが、我々も例にもれることなく、さっそく自分語りを始めていきます。

 

宇宙班は宇宙線ミューオンの飛来軌道を一定程度可視化し、飛来方向のデータを集める」実験をおこなっています。これは適当にそれっぽい言い方をしてみただけで、有り体に言ってしまえば、宇宙線ミューオンと呼ばれている粒が、どの方向からやってきているのか調べる」というだけです!

以下では、宇宙線ってなんですかというところを説明していこうと思います。口頭で説明するとよく間違われてしまうのですが、宇宙「船」ではありません!説明の途中で「ああ、ヤマトみたいなやつの話をしてるのかと思ってた」と言われることが多々あります。

 

みなさんがなんとなく知っているように、宇宙では非常に大きなスケールで様々な現象が進行しています。ブラックホールや銀河の運動などは私たちが想像するよりも、はるかに大規模な物理現象です。そういった現象のいくつか――特に言われがちなのは太陽のフレア(太陽表面での爆発)や超新星爆発(一つの星が爆発すること)――は、それが生じたときに陽子などの粒子を周囲に放出します。爆発爆発と言っているようにもともとの現象はとてつもないエネルギーをもっているので、この放出された粒子も非常に高いエネルギーをもつことになります。宇宙のいたるところに、この粒が飛んでいることが知られています。高いエネルギーをもつこれらの粒子は人体に有害ですが、宇宙服はこれらから身を守ってくれる構造になっています。宇宙旅行のときは宇宙服を脱がないようにしましょう。

この粒は目には見えません。視力に自信があっても見えません!あまりにも小さすぎるからです。例えば陽子については、その大きさはだいたい、10のマイナス15乗メートルです。これだけではピンと来ないので、わかりやすく言うならば、大人の人に対する陽子の大きさというのは、地球の公転半径に対する一円玉の大きさよりも小さいのです!これはたまげたものです。

 

さてさて、宇宙のいたるところを飛ぶ、この目に見えない粒を宇宙線と呼びたいのですが、実はこれは「一次宇宙線」と呼ばれるものでしかありません。今回の実験で我々が観察するミューオンは「二次宇宙線」と呼ばれるものです。

 

一次、二次という名前からもわかるように二次宇宙線は一次宇宙線が原因となって発生するものです。宇宙からやってきた一次宇宙線は地球の大気に到達するや否や、大気中の原子や電子にぶつかることで、原子を崩壊させたり、電子を吹き飛ばしたりします。原子が崩壊することで生じた粒子や、吹き飛ばされた電子は、再び、他の原子や電子と反応し、崩壊や跳飛、エネルギーの発生など様々な相互作用を引き起こします。この過程において副産物がどんどんネズミ算式に増えていきます。これらがまとめて「二次宇宙線」と呼ばれています。

一次宇宙線と同じように、目には見えませんが、地球上表面のあらゆるところに二次宇宙線が降り注いでいます。一次宇宙線を起点として、結果的に上空からたくさんの二次宇宙線が降り注ぐこの様は、電磁シャワーと称されます。

とすると、我々の体も常時、二次宇宙線によって貫かれているわけです。幸い、我々の体は二次宇宙線に感覚を覚えるようにはできていません。いまこれを読んでいる人で貫かれている感覚がする人はいますか?いたとしても、それは二次宇宙線ではありません。たぶん何かに実際に貫かれているので、よく確認したほうがよいでしょう。

 

地球上表面のあらゆるところと言いましたが、建物内にもやってくる種類の宇宙線があります。そういったものはコンクリートや木を透過することができるわけです。種類が限られるとは言え、屋内でも宇宙線は飛び交っています。我々、宇宙線からはそう簡単には逃れられないのです。もっとも、宇宙線があまり届かないような場所も存在します。どういう場所だろうかといろいろ考えてみてください。

 

ミューオンは二次宇宙線であり、屋内にもやってくる部類のものです。我々はこのミューオンがどの方向からやってきているのかを調べています。もちろん目には見えません。宇宙線実験でよく言われるように、「見えないものを見る」というわけです。目には見えないものについて、頭を凝らし、飛んできた方向を調べたりだとか数を数えたりだとかする。これは非常にエキサイティングなことだと思うので、ぜひご覧になってください!

 

最後は駆け足気味になってしまいましたが、いまから実験道具の検討をしにみんなで秋葉原に行かなければいけないので、今日はこんな感じで終わりにします!ではでは。